数学の授業を通してどんな力がついたか?①

 3年間の最後に,数学の授業を通して身に付けた力について生徒に記述してもらった。
 どんな力がついたか,なぜそう思うのか,その力をどうしていきたいか。
 仮に数学の知識や技能を忘れていったとしても,仲間づくりや自分で行動した経験は,生徒に残っていってほしい。
 Evidenceベースで実践を語りたい。
 一方,こうしたソフトスキルの高まりをどう見取るか…その方法は簡単ではない。
 今は,生徒の記述が1つの指標。
 今までの授業のカタチを崩してチャレンジするのはストレスが多い。
 だから,こうして生徒が成長を言葉にして表してくれることが,自分を勇気づけてくれる。

生徒A

数学で人と助け合うという力が身についたと思います。僕は1人では解ききれなかったけど,人と助け合って問題を解くことができました。

生徒B

3年間の数学の時間を通してコミュニケーション能力が身についたと思う。理由は,学び合いの授業ではあまり交流のない人と関わることができたし,友達にしっかり教えることができたからだ。この力は,これからの高校や就職先でも使えると思うので活かしていきたい。

生徒C

私は学び合いの授業を通してコミュニケーション力がついたと思う。なぜなら,私は中学入学前は人とのコミュニケーションをとるのが下手で,会話がもたない,相手の立場に慣れないという事がありましたが,この3年間の数学で相手のペースで考える事を意識すると相手の立場になって考える事ができるようになったからです。そして,これから先どの場所に行っても集団生活があり相手を尊重する場面が多くなると思うので,3年間で身に付けたコミュニケーション力を活かしていきたい。

生徒D

 数学の授業ではコミュニケーション能力がついたと思います。色々な人と関わったりすることで,日々の生活で勇気を持って話せたりしてとてもいい活動だと思います。その力で男女構わずしゃべれるようにしたいです。

生徒E

 僕は授業を通して「自分の意見を言ってみる」ということができるようになりました。僕は自分の意見を自分から言うのが得意ではありません。でも授業では,「自分の意見」をいう事がとてもありました。人と違ったりすると自信を持てなくなります。でも授業を通して言えるようになりました。理由は,自分の意見を言ってみることで,さらに考えが深まることを,やってみて知ったからです。とてもいい経験でした。この力は,まだクラスの人とかだけなので,学校の人などにも言えるように,もっともっと人との関わりが増えると思ったので,今後活かしていきたいです。

生徒F

 数学の授業を通して私はコミュニケーション力がついたと思います。そう考える理由は相手に問題を教えるとき,相手が分かるように言葉を変えたりして話す必要があるし,まず話しかけないと教えることはできないからです。だから,コミュニケーション力で自分の意見を相手に説明していきたいと思いました。

生徒G

 僕は数学の授業を通して,人に聞いて理解する力がつきました。その理由は,分からなくても誰かに聞けばみんなすぐ答えてくれたりして,理解できたからです。だから今後,この力を社会に出たりして活かしていきたいです。

生徒H

 分からなかった時には人に聞く力。数学の問題には必ず答えがあるし,解き方は1つではないので,色々な人の解き方を聞いて,自分に合った方法を選択し数学に意欲的に取り組めたから。高校や社会で積極的にコミュニケーションを交わし,問題や課題を1つ1つクリアできるようにこの力を活かしたい。

この3年の学校での実践についてメモ

自分が大切にしてきたこと

この3年に限らず,自分は「開発教育」や「ProjectAdventure(PA)」の実践をしながら学んできた。

・世界に目を向けられる
・多様な価値観の人と共に生きる
・社会につながる、行動する
・体験を通して学ぶサイクルを回せる
・ありたい自分、自分達を考える

こんなきっかけになればいいから。
でも、それらは「開発教育の教材」を通して学ぶものでも、「PAのアクティビティ」を通して学ぶものでもなく、すべての出来事を開発教育やPAで考えることができるよなと思う。 根っこにあるものはつながっている。

この3年間は、もちろん開発教育の教材、PAのアクティビティも実施したけど、数学の授業をまるごと開発教育、PA化しようと試みている。

数学を再デザイン

数学のMATHの頭文字をとって、
「M」indset
「A」dventure
「T」eam
「H」appy

体験から学べる人のマインドセット、冒険すること、チームとして高まること、幸せであること…を大切にした数学の授業を目指している。

主に『学び合い』の実践で、子どもと共に学ばせてもらっている。

最初は単元の最後で数時間だけの実施だったが、だんだんと子どもを信じて任せることができるようになってきて、ほぼ学びを子どもに委ねられるようになった。

そして、今では単元内の自由進度制『学び合い』を行っている。

授業で身に付けるべき学習内容は国で決められていて、そこは変えられない。
でも、その学び方やペースは個々が自分らしく選べる環境にしていける。

一時間で課題を達成できるようチームで工夫するのも大切だけど、「この時間内で全員」が強すぎると、どうしても子どもが自分らしく選択をするよりも、課題達成の強要になりがち。(これは自分自身の課題だろう)

だから、単元を任せるようにした。

長野県に開校予定の風越学園のHPに、「学びのコントローラ」という言葉が出てくるが、この学びのコントローラを子どもに持たせるには、一時間で完結させるのではなく、もっともっと長いスパンで学べることにメリットがあるし、教師側も長いスパンで生徒の成長プロセスを見ることができる。
生徒の自己主導力を高めるため、単元内自由進度制。

単元を通して個々が学ぶ

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「単元通して遭難者を出さんようにしよう!」

一人でやる子、仲良しとやる子、クラスを見て、一人も見捨てないために動く子、なかなか学びに向かえない子…
規律ある一斉講義と比べて、カオスな教室。

自分が出ていきたいって気持ちが強くなるのを一度抑えて、生徒の学ぶ姿にじっくり向き合う。

プロセスに対しての見取り力,フィードバック力が必要。

今の現場は,
「子どもが社会に出て幸せに生きていくため」という根っこを共通に持って、個々の先生が自分でこだわって実践することができる環境。

だからこそ、自分らしく思い切って実践したいし、発信もしたい。